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300年前の処世術~人類の叡智~

誰しもがなんとなく身につけてきた処世術
言葉にするのは難しいけど、少し考えてみると、自分なりの処世術が2つ3つはお持ちかと思います。
今回の担当は、桐生がお届けいたします。

本日は、転職!や労働法!という硬いテーマから少し離れて、
転職先や現職での人間関係をつくる処世術について、
300年前の江戸時代の方にお知恵をお借りしたいなと思います。

処世術=巧みな世の中の渡り方 笑

唐突ですが、『葉隠』(はがくれ)という本をご存知でしょうか?
書かれたのは、1710年から足かけ7年(1717年に完成)。いまが2017年なので300年前。
佐賀の藩士、山本常朝(じょうちょう)さん、おんとし59歳(いまで言えば70代半ばぐらいでしょうか)が後世に遺した本です。

ときは、徳川幕府ができて100年ほど、もう安定期ですね。
なので、武士といっても戦モードはなくなり、たるんだ世の中を憂いて、
「いまの若い奴らは…」と、いつの時代も同じ悩みを抱えたご老体が、
武士の心構えを示した内容になっています。
「武士道といふは、死ぬことと見つけたり」は有名なはず…)

なんとなく、武士道とかいうと小難しい感じを受けるかと思いますが
この葉隠は、武士だけではなく、みんなが使える暮らしに役立つ情報が満載な本なのです。
「本物の恋愛ってのは忍ぶんだよ忍ぶ…」というお話や「人前であくびをしない方法」、「次の日の予定は立ててから寝よう」など、定朝さんの主観入りまくりではありますが、何となく頑固じいさんが書いたものだと思うとかわいげさえ浮かんでくる本なのです。

さて、一部にはなりますが、定朝さんが明文化し、後世に遺した処世術をいくつか。

【お酒の席について】
「大酒にて後れを取りたる人数多なり。別して残念の事なり。」(続)
⇒大酒を飲んで失敗した人は数多くいる。とても残念なことである。
まずは自分の酒量をよく知って、それ以上は飲まないようにしたいものだ。
そうしていても、ときによっては酔いすごすことはある。
酒の席ではいつも気を抜かずにいて、思いもかけぬ出来事が起こっても、
十分対処できるように考えるべきである。酒宴は、人の眼の多い晴れの場なのだから
気を付けなければならない。
(酒の場も気を抜くな、という教えですが、定朝さんも失敗談がたくさんあるのだと…)

【人に意見をするときは】
「そもそも意見と云ふは、まずその人の受け入るるか、受け入れぬかの気をよく見分け」(続)
⇒意見というのは、まず、その人がそれを受け入れるのか否かをよく見分け、相手と親しくなり、こちらのいうことを、いつも信用するような状態にしむけるところからはじめなければならない。そのうえで、趣味の方面などからはいって、言い方なども工夫し、時節を考え、あるいは手紙などで、あるいは帰りがけなどに、自分の失敗を話しだしたりして、余計なことは言わなくても思い当たるように仕向けるのが良い。
(これが、本物の武士もののふの心遣いなんですね…。胃が痛くなる気遣いっぷりです)

葉隠を原文で読むのはかなりの胆力が必要ですので
三島由紀夫の『葉隠入門』がおすすめです。
人間味ある、頑固じいさんをイメージしつつ、ぜひ読んでみてください。
300年前から変わらない原則や知恵に触れ、ぜひ円滑なコミュニケーションに活かしてください。

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