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幸子にラブ・ソングを

第2話

ドキッ☆はじめてだらけの派遣登録

その場のノリと勢いで、なんとなくプロバンクにエントリーした幸子(この物語の主人公である)。
―そういえば、派遣登録って何するんだろう
っていうか、そもそも派遣って他のはたらき方と何が違うんだろう―

「こんにちは!14時でご予約いただいている内 幸子さまですね。
私、コーディネーターの青山と申します。本日はよろしくお願いします!」

来社前の不安はどこへやら、迎えてくれた女性スタッフの明るい笑顔にホッと胸をなでおろす幸子。

青山さんに言われるまま聞かれるままにプロフィールを登録し、
営業事務の経験が長いから近い職種がいいこと等、仕事に対する希望を伝えていく。

そして、一番の希望は…

「今までは仕事で英語を使うことはなかったんですけど、
留学もしてTOEICもひとまずの目標にしていたスコアは取れたので、
これからのお仕事に活かしたいと思ってるんです。」

本音を言えば…正社員でも探していたけど、
いきなりビジネスレベルで英語を使える自信はないし、と二の足を踏んでいた幸子。

「プロバンクさんのサイトを見てたら、電話取り次ぎができればOKとか、
お仕事によって求められる英語スキルの幅広そうだったので、
派遣なら今の私の英語スキルからはじめられるお仕事があるかも、と思ったんです。」

話しながら、いいトシしてなにを夢見がちなことを、、
と冷ややかな目で見られたらどうしよう、と思わないでもなかったが、
青山さんは熱心に耳を傾けてくれる。

「そうなんですね!内さんて、ずっと日系の会社さんでお仕事されてますよね。
何か英語を勉強しようと思ったキッカケってあるんですか?」

ギクリ。しばし固まる幸子。
「じ、実は・・・ずっとお付き合いしていた方がいたんですけど・・・」

彼が海外赴任になったこと、それを機に本格的に英語の勉強をはじめたこと、
英語だ仕事だと忙しくしているうちに彼と音信不通気味―
・・・と思っていたら既に彼が海の向こうへ行ってしまっていたこと。

「…って、すみません!どーでもいいですよね、こんなこと!」

はっと我に返り、余計なことまでしゃべりすぎだと気づくと同時に、
彼においていかれたことが自分で思う以上の傷になっていたんだとも認識してしまい、
にわかに胸が冷たくなる幸子。

「それは内さん、つらかったでしょう・・
でも、せっかく努力されたんですから、お仕事で活かしましょう!」

やさしい青山さんの声に、幸子の冷えた胸がポワンとほのかにあたたまる。
自分の話に耳を傾けつつ、脱線はしっかり軌道修正してくれるあたり、さすがプロ。

「例えばですね、この外資のメーカーさんなんですけど・・・」

勧められたお仕事内容は、外資系メーカーでの営業事務。

―英語はメールのやり取りがメインで、納期の確認くらいなら今の英語スキルで対応できる
お給料を時給で考える感覚はまだよくわからないけど、
ザッと計算した感じだと今の生活をガラリと変えなくても良さそうだな・・・

・・・よし、応募してみよう―

 

「では、こちらでスキルシートを作成して、先方への紹介を進めていきますね。」

「…スキルシート?」

耳慣れない言葉に、思わずオウム返し。

「職務経歴書のカンタンにしたバージョンですね。
内さんの個人情報や、お勤めされていた会社名などは伏せますので安心してください。」
青山さんは紙を一枚、幸子の前に差し出し説明してくれた。

「なるほど。じゃあ、派遣って派遣先との面接みたいなものってあるんですか?
知らないところにいきなり行って知らない人と仕事をするのはちょっと抵抗が・・・

ついでとばかりにギモンは何でも口にしてみる。
うっかり自分語りをしてしまったからか、はたまた青山さんの雰囲気が思わせてくれるのか、
「知らない」ことをすんなり露呈できる自分に内心で驚く幸子。

「そうですね。実際の就業場所に行って、職場の雰囲気を確かめていただける機会は作ります。
もしそこで思っていた仕事と違うなと思ったら、気兼ねなく言ってくださいね。」

―派遣ではたらくって、ひとりで就職活動するのとは違って、
派遣会社が間に入っていろいろと調整してくれるんだ―

年齢を重ねれば重ねるほど、気軽に新しいチャレンジをすることができなくなっていたが、
これなら大丈夫そう、と前向きな気持ちになれた幸子であった。

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